SPECIAL
スペシャル
昨年の12月24日。1万人以上が参加したオーディションを勝ち抜いた11人の声優の卵たち。その名も22/7(ナナブンノニジュウニ)。まだ産声を上げたばかりの彼女たちがレッスンを積み、ついに4月21日、初舞台に立った。
開演すると同時に、ステージ上にひとつずつスポットが点き、11本のスポットがすべて灯ったところで、「私たちは見えない」という何重にも重なった声が上がる。
目の前のステージに22/7のロゴが浮かび上がる。司会進行の駒田航氏により、一組目の朗読がスタート。幕には倉岡水巴、海乃るりという名前が描かれ、“サーっ”という雨の音から、物語が始まった。この舞台上に、声の主の姿は登場しない。あくまでも、朗読で聴く人を魅了するというイベントが、まさにここからスタートした。
ここで描かれるのはひとつの傘をきっかけに生まれた“青い”物語。男子役の倉岡は、どこかエモーショナルに、そして女子役の海乃は少し温かみを帯びた声で、若い世代が持つ独特の焦燥感や、不安、そして将来の光を表現。
堂々とした朗読に見えたが、終わった直後のコメントで倉岡は「すごく緊張したんですが、それと同じくらい楽しかったです。達成感がすごいです!」と興奮気味に話し、海乃は「同じく緊張もしたんですが、一言話し出したら楽しくなりました!」と、聴き手にその緊張がつたわるかのよう。さらに倉岡は「今までのレッスンで、基礎練習は一体何のためなんだろうと思うこともありましたが、初舞台に立つことでその重要さが実感できました」と感慨深く話した。
2人の夢は、もちろん“声優”。海乃は、「ずっと声優に憧れていたので、これからもずっと続けていきたいと思います。いつかはキャラソン(キャラクターソング)を歌ってみたいと思いました!」と未来の野望を宣言していた。
二組目は帆風千春、涼花萌。高校のチャイムが鳴り始まった物語は、UFOを信じ、呼ぼうとする不思議な女の子と、その女の子に振り回される男の子のロマンチックなファンタジー・ラブストーリー。ひとつひとつの女の子の言葉に戸惑う表情が目に浮かぶような男子役を演じたのは帆風千春。そして、マイペースに独特な雰囲気の声で女の子を演じたのは涼花萌。帆風は「ストーリー自体がドキドキする話なので、朗読劇にドキドキしているのか、話の内容にドキドキしているのかわからなくなりましたが、とてもいい緊張感で出来ました。レッスンでは、感情を表現することがとても難しく、やっているつもりでも伝わっていないことが多かったので、今日はその感情が伝わるように頑張って練習しました」とコメント。
涼花は「演じていると、自分がどうしても前に出てきてしまうので、今日は演じた女の子になりきれるように練習しました」と話すと、気が抜けたのか声が震えだす一面も。なんとか声を振り絞り、「初舞台に来てくれてありがとうございます。これからもずっと私たちのことを好きでいてくれたら嬉しいです」と涙声で話していた。
三組目は武田愛奈、西條和。容姿端麗なテニス部のマドンナでもあり、学校のアイドルである女の子に呼び出された男の子の複雑な心境を語った、展開の気になる物語だ。武田愛奈が演じる男の子の心理が中心となっているため、女の子を演じた西條の台詞はとても少ない。しかし、西條は「普段からそんなに喋るタイプではないので、共感できることがたくさんありました。やっていてたのしかったです」と話す。さらに武田は「レッスンでは、“誰に何を伝えるか”ということを意識して練習していました。それが伝わっていてくれたらいいなと思います」と話すと会場から拍手が上がった。
最後に西條は「私は演技が得意ではないし、いつもマイペースになってしまうのですが、頑張っていくので見守っていただければと思います」と、たどたどしさがありながらも、最後までしっかりと語った。
四組目に登場したのが高辻麗と宮瀬玲奈。本をめくる音から始まり、図書館を唯一の居場所にしていた女の子と、その女の子の存在に気づいていた男の子が繰り広げるピュアな物語だ。優しい声で女の子を包み込む男子を演じた高辻と、男の子と出会うことで成長していく女の子を演じた宮瀬は、朗読し終えた後も、興奮が冷めやらない様子。宮瀬は「私は伝えることを意識しました」と話した後に、「実は昨日眠れなくて、深夜にみんなに”眠れない”とメールしたんです。でも、誰も返してくれなかったので、寝ているんだろうなって思って・・・。でも朝になって返事が来たので安心しました」と話し、「私は何もできないので、ただただ必死にレッスンを受けてきました。これからは“伝えること”ができる女の子になりたいです。声、ダンス、歌、全部を使って伝えていきたいです」と決意表明をしていた。
対する高辻は「レッスンが辛くて泣いてしまうこともありますが、それ以上に声を出して何かを表現することがすごく楽しいんです。私はどんくさいのでダンスは本当に苦手なんですが、いつか披露するときまでに練習して、ダンスをキレッキレにしたいと思います」と自らハードルを上げていた。
五組目は白沢かなえ、西條和、帆風千春の3人。西條と帆風は本日二度目の出演となった。帆風演じる鉄拳制裁も辞さない暴力教師”あべせん”に呼び出された白沢かなえ演じるやんちゃな男の子と、西條演じる優等生の女の子。先生に呼び出されてから顔を合わせるまでのドキドキを2人が上手く表現。その後の先生との絡みも面白く魅せた。
白沢は「登場人物が3人出てくるお話が唯一のこの物語だったので、最初は不安だったんですが、上手く3人の見どころが出来たかなって思っています」さらにレッスンに関して話を聞くと、「今回の台本を読んでレッスンに挑んだんですが、やるたびに変わる(演出や台本に)柔軟に対応できる対応力を身につけたいと思いました」と将来の抱負を披露。そして3話ではセリフの少なかった西條は「今回はたくさん喋れました」とご機嫌な様子。さらに、先生役を演じた帆風は「2話でも男性役だったのですが、違いを見せられたらいいなと思って演じました」と、細かい役作りについて語っていた。
そして最後を飾ったのは、天城サリーと花川芽衣。学校のウサギ小屋に入る女の子を、ふんわりと掴みどころのない声で花川が、その女の子を注意しながらも、どこかその雰囲気に惹かれる男の子を天城が演じた。
花川は「わたしもウサギが好きなので共通点があってたのしかったです」と言った後、司会の駒田氏に「どのくらい好き?」ときかれると、声しか聞こえていないのにも関わらず「こんくらい!」と叫び、会場の笑いを誘った。そして天城は、「この役で初めて男の子役を演じさせてもらいました。声優として男の子役を演じるのは夢だったので、イケボを出せていたかな?」と聞くと、会場からは拍手が。「嬉しいです」と話し、最後は2人で「みんな! またおいでよ。きていいの? いいとも~!」と声を合わせて挨拶に代えていた。
無事、初舞台を終えた11人。最後に司会の駒田氏は「まだまだ未熟な彼女たち。今日の舞台を経て、さらに今後の彼女たちの活動が非常に気になるところではあります。これからの彼女たちは、ここにいる皆さんの熱い想いで変わっていきます。まだ、見えない彼女たち。いつの日にか、大きな舞台で見える彼女たちをお楽しみに」と語り、彼女たちの初舞台は大盛況のうちに幕を閉じた。
いま、まさにスタートしたばかりの22/7。まだまだ可能性は無限大だ。この日が、さらに成長し、大きな花を咲かせるであろう彼女たちの、記念すべき日となったのは、間違いない。
(TEXT/吉田可奈)
開演すると同時に、ステージ上にひとつずつスポットが点き、11本のスポットがすべて灯ったところで、「私たちは見えない」という何重にも重なった声が上がる。
目の前のステージに22/7のロゴが浮かび上がる。司会進行の駒田航氏により、一組目の朗読がスタート。幕には倉岡水巴、海乃るりという名前が描かれ、“サーっ”という雨の音から、物語が始まった。この舞台上に、声の主の姿は登場しない。あくまでも、朗読で聴く人を魅了するというイベントが、まさにここからスタートした。
ここで描かれるのはひとつの傘をきっかけに生まれた“青い”物語。男子役の倉岡は、どこかエモーショナルに、そして女子役の海乃は少し温かみを帯びた声で、若い世代が持つ独特の焦燥感や、不安、そして将来の光を表現。
堂々とした朗読に見えたが、終わった直後のコメントで倉岡は「すごく緊張したんですが、それと同じくらい楽しかったです。達成感がすごいです!」と興奮気味に話し、海乃は「同じく緊張もしたんですが、一言話し出したら楽しくなりました!」と、聴き手にその緊張がつたわるかのよう。さらに倉岡は「今までのレッスンで、基礎練習は一体何のためなんだろうと思うこともありましたが、初舞台に立つことでその重要さが実感できました」と感慨深く話した。
2人の夢は、もちろん“声優”。海乃は、「ずっと声優に憧れていたので、これからもずっと続けていきたいと思います。いつかはキャラソン(キャラクターソング)を歌ってみたいと思いました!」と未来の野望を宣言していた。
二組目は帆風千春、涼花萌。高校のチャイムが鳴り始まった物語は、UFOを信じ、呼ぼうとする不思議な女の子と、その女の子に振り回される男の子のロマンチックなファンタジー・ラブストーリー。ひとつひとつの女の子の言葉に戸惑う表情が目に浮かぶような男子役を演じたのは帆風千春。そして、マイペースに独特な雰囲気の声で女の子を演じたのは涼花萌。帆風は「ストーリー自体がドキドキする話なので、朗読劇にドキドキしているのか、話の内容にドキドキしているのかわからなくなりましたが、とてもいい緊張感で出来ました。レッスンでは、感情を表現することがとても難しく、やっているつもりでも伝わっていないことが多かったので、今日はその感情が伝わるように頑張って練習しました」とコメント。
涼花は「演じていると、自分がどうしても前に出てきてしまうので、今日は演じた女の子になりきれるように練習しました」と話すと、気が抜けたのか声が震えだす一面も。なんとか声を振り絞り、「初舞台に来てくれてありがとうございます。これからもずっと私たちのことを好きでいてくれたら嬉しいです」と涙声で話していた。
三組目は武田愛奈、西條和。容姿端麗なテニス部のマドンナでもあり、学校のアイドルである女の子に呼び出された男の子の複雑な心境を語った、展開の気になる物語だ。武田愛奈が演じる男の子の心理が中心となっているため、女の子を演じた西條の台詞はとても少ない。しかし、西條は「普段からそんなに喋るタイプではないので、共感できることがたくさんありました。やっていてたのしかったです」と話す。さらに武田は「レッスンでは、“誰に何を伝えるか”ということを意識して練習していました。それが伝わっていてくれたらいいなと思います」と話すと会場から拍手が上がった。
最後に西條は「私は演技が得意ではないし、いつもマイペースになってしまうのですが、頑張っていくので見守っていただければと思います」と、たどたどしさがありながらも、最後までしっかりと語った。
四組目に登場したのが高辻麗と宮瀬玲奈。本をめくる音から始まり、図書館を唯一の居場所にしていた女の子と、その女の子の存在に気づいていた男の子が繰り広げるピュアな物語だ。優しい声で女の子を包み込む男子を演じた高辻と、男の子と出会うことで成長していく女の子を演じた宮瀬は、朗読し終えた後も、興奮が冷めやらない様子。宮瀬は「私は伝えることを意識しました」と話した後に、「実は昨日眠れなくて、深夜にみんなに”眠れない”とメールしたんです。でも、誰も返してくれなかったので、寝ているんだろうなって思って・・・。でも朝になって返事が来たので安心しました」と話し、「私は何もできないので、ただただ必死にレッスンを受けてきました。これからは“伝えること”ができる女の子になりたいです。声、ダンス、歌、全部を使って伝えていきたいです」と決意表明をしていた。
対する高辻は「レッスンが辛くて泣いてしまうこともありますが、それ以上に声を出して何かを表現することがすごく楽しいんです。私はどんくさいのでダンスは本当に苦手なんですが、いつか披露するときまでに練習して、ダンスをキレッキレにしたいと思います」と自らハードルを上げていた。
五組目は白沢かなえ、西條和、帆風千春の3人。西條と帆風は本日二度目の出演となった。帆風演じる鉄拳制裁も辞さない暴力教師”あべせん”に呼び出された白沢かなえ演じるやんちゃな男の子と、西條演じる優等生の女の子。先生に呼び出されてから顔を合わせるまでのドキドキを2人が上手く表現。その後の先生との絡みも面白く魅せた。
白沢は「登場人物が3人出てくるお話が唯一のこの物語だったので、最初は不安だったんですが、上手く3人の見どころが出来たかなって思っています」さらにレッスンに関して話を聞くと、「今回の台本を読んでレッスンに挑んだんですが、やるたびに変わる(演出や台本に)柔軟に対応できる対応力を身につけたいと思いました」と将来の抱負を披露。そして3話ではセリフの少なかった西條は「今回はたくさん喋れました」とご機嫌な様子。さらに、先生役を演じた帆風は「2話でも男性役だったのですが、違いを見せられたらいいなと思って演じました」と、細かい役作りについて語っていた。
そして最後を飾ったのは、天城サリーと花川芽衣。学校のウサギ小屋に入る女の子を、ふんわりと掴みどころのない声で花川が、その女の子を注意しながらも、どこかその雰囲気に惹かれる男の子を天城が演じた。
花川は「わたしもウサギが好きなので共通点があってたのしかったです」と言った後、司会の駒田氏に「どのくらい好き?」ときかれると、声しか聞こえていないのにも関わらず「こんくらい!」と叫び、会場の笑いを誘った。そして天城は、「この役で初めて男の子役を演じさせてもらいました。声優として男の子役を演じるのは夢だったので、イケボを出せていたかな?」と聞くと、会場からは拍手が。「嬉しいです」と話し、最後は2人で「みんな! またおいでよ。きていいの? いいとも~!」と声を合わせて挨拶に代えていた。
無事、初舞台を終えた11人。最後に司会の駒田氏は「まだまだ未熟な彼女たち。今日の舞台を経て、さらに今後の彼女たちの活動が非常に気になるところではあります。これからの彼女たちは、ここにいる皆さんの熱い想いで変わっていきます。まだ、見えない彼女たち。いつの日にか、大きな舞台で見える彼女たちをお楽しみに」と語り、彼女たちの初舞台は大盛況のうちに幕を閉じた。
いま、まさにスタートしたばかりの22/7。まだまだ可能性は無限大だ。この日が、さらに成長し、大きな花を咲かせるであろう彼女たちの、記念すべき日となったのは、間違いない。
(TEXT/吉田可奈)