SPECIAL
スペシャル
『22/7 Spring Tour 2025 「Casino Party!!」』
公式ライブレポート
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秋元康総合プロデュースのもと、Sony MusicとANIPLEXがタッグを組んだデジタル声優アイドルプロジェクト22/7(ナナブンノニジュウニ、通称「ナナニジ」)。大阪、仙台、愛知、東京の4都市にわたって2年ぶりに行われたツアーのテーマは「Casino Party!!」。ファンが〝BET〟するミニゲームを交えながら、最新シングル『ロックは死なない』やその収録曲を中心に9人一丸となった力強いパフォーマンスで春一番を吹かせた。7月16日リリースの15th single『あなたでなくちゃ』をサプライズ披露し、さらなる進撃を予感させたZepp DiverCity(TOKYO)での最終公演の模様をレポートする。
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新曲サプライズ披露も! ステージに全身全霊をかけるナナニジの未来に全〝BET〟!
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この日が誕生日の望月りのがソロステージを行った昼公演。持ち前の歌唱力が大きな感動を呼ぶ中でメンバーの絆は深まり、ファンの心も熱くなっていた。 そして、迎えたツアーファイナル――。真紅のベルベットカーテンに覆われた秘密の遊び場のようなステージに軽やかなOvertureが流れ、左右の舞台袖からステップを踏みながら登場した9人のメンバーたち。品の良い蝶ネクタイを首元に、トランプを思わせる赤と黒を基調とした装いで、それぞれの髪型にあわせて結ばれたリボンも華やかだ。互いを支え合ってのラインダンスなどアクロバティックな振付やハットを用いたパフォーマンスが繰り広げられ、華やかにショーアップされた一夜の幕が上がる。


「最終公演、盛り上がる準備はできていますかーっ!?」という天城サリーの第一声に牽引され「元気になるおまじない」として会場中が声を合わせて〝5文字〟を叫んだ『タチツテトパワー』。さらに『世界中で歌おうぜ』へと、腕をつきあげ、声を出してこそ楽しいライブの醍醐味を味わう楽曲が続き、冒頭から観客席は熱く揺れる。〝日本で一番多い名字〟を連呼する歌詞とアルゴリズム風ダンスがクセになり話題を呼んでいる『佐藤さん』は、ユーモアと高い表現力を併せ持つ今のナナニジの名刺ともなっている一曲だろう。一人ひとりの自己紹介でも、それぞれのお決まりの挨拶でファンと心を通わせていく。「銀河が揺れたら地球も揺れるんですか?」と天然ぶりを炸裂させる望月を始め、変わることのない彼女たちの愛らしさに口角が上がりっぱなしだ。また、Overtureのダンスについて、筋肉痛になりながら全員で練習を重ねたこと、最終公演ということで「もうなくなってもいい」という勢いでハットを客席に投げたことが明かされた。


テーマに沿って、おなじみの曲がまるで違った表情を見せていくのもナナニジのライブの楽しみの一つ。今回は「Casino Party!!」と銘打っているだけに、どこかスリリングな印象を持って聞こえてくる。常識を捨てて夢へとまっしぐらに駆ける『YESとNOの間に』で一攫千金のチャンスへとダイブしたかと思えば、『Just here and now』で「理由がなきゃダメ?」と口元に人差し指を当てた麻丘真央の小悪魔の囁きにすべてを捧げてしまいそうになり、戦う者たちが火花を散らすコロシアムの雰囲気を持った『僕らの環境』は二者択一の賭けに興じる絵そのものにも見える。千手観音級に壮絶な手の振りで魅了する『あやふやな世界観』も数多の駆け引きの中で何かを掴もうともがくようだったが、椎名桜月のまなざしは揺らがずクールだ。

ここで、ツアーを通して行われてきた「パーティークイーン」の称号を巡る戦いがついに決着のときを迎える。ここまで勝ち残ってきた4人が臨むのは「イス」ならぬ「サス取りゲーム」だ。音楽が止まると同時にステージ上を照らすサスペンションライト(スポットライト)の中に入れた人が勝ちとなる。誰が優勝するかということを事前にファンが賭けていたのが、その一番の期待を背負っていた西條和はあえなく敗退。椎名もかすかに明るくなっていたところに入ってしまい「日々の運動量が大切だった」と悔しさをこらえる。最終的に、何とツアー中、最初の公演で勝利を収めた麻丘を、この日の昼公演で行われた敗者復活戦で這い上がった「ダークホース」相川奈央が制するという驚きの展開はまさにギャンブルさながら!ごほうびとして「メンバーといっしょにおいしいうどんが食べたいです」と、すかさずおねだりする様子は、さすがあざとさに定評のある相川だった。熱いバトルの終わりには爽やかに『韋駄天娘』で〝賭け抜けた〟……もとい駆け抜けた。
メンバーたちは舞台裏へ引っ込み、会場には「ナナニジラジオ」というかたちで麻丘、椎名、そして、四条月をパーソナリティとするトークが流れる。今回のセトリは、ライブ中こそアドレナリンが出ているから耐えられているのだが、帰りながら「実は疲労感がものすごい」ことに気づくのだという。特にメイクさん泣かせだという汗かきの四条は「びちょびちょでした〜」と困ったもの。熱がこもりやすい衣装だが、それでも「赤と黒でカッコイイ」と新鮮なイメージに声を弾ませ、コンセプトがしっかりとしたライブだったことを振り返った。
気づけば、ライブ後半戦。激しいダンスビートが会場のテンションを煽る中、再び登場したメンバーたちはレザービスチェがそれまでのナナニジのイメージに革新を起こしたといえる白と黒の「ロックは死なない」衣装に着替えていた。相川がひとりライトを背に「ヒーロー見参!」とばかりに前傾ポーズをキメて始まる『Why are you crying?』。平成初期のサウンドを彷彿とさせるパラパラダンス曲で、表情はクールながらも「泣くな!」「笑え!」と感情に訴えるセリフが突き刺さる。さらに、ヒーローがヒーローを呼ぶかのようにあらわれた『無関心ヒーロー』。「ヒーローとは僕らのことだ」と、西條の真っ直ぐな声が響く。そしてここで、熱い曲から一転して抒情豊かな『とんぼの気持ち』のイントロが流れ客席はふいうちにどよめいた。大きな苦悩のかたまりかのように一つに寄り添った先頭に立つのは、望月。天城と西條のシンクロダンスから、背中合わせとなってそれぞれの空を指差すに至るまではいつのときも美しく、胸に迫るものがある。アウトロで一人ひとりが繰り広げる即興ダンスに映る心象風景からも目が離せなかった。
一息ついて「セトリさ、激攻めてるよね」とぶっ込んだのは河瀬詩。毎回少しずつセトリは変わっているが、振付師さんも「……楽しんでいこう」と言うしかないほど過酷。それでも「でもめっちゃ楽しいことに変わりはない!」と声をそろえた。常にどうにか曲中でふざけられるポイントを探している天城だが、その餌食となる月城咲舞の悲劇は笑いを誘った。さらにツアーを振り返って思いだされることとして、ご当地グルメの話題でも盛り上がる。仙台公演でたいやきを5個も食べたという望月だが、名古屋公演の終演後、スタッフからパフォーマンスを「すごい良かった」と褒められてメンバー同士で「イェーイ!」とはしゃいだという話も。西條和は名古屋公演の前日に個人イベントが開催されたこともあり、自分の出身地かと錯覚するくらいのホーム感があったという感謝を伝えた。
そんな楽しい思い出話から、床に倒れたメンバーもいる衝撃的な始まりでガラリと空気を変えた『嫌われるということ』。人を嫌い、人から嫌われる自分自身を激しく睨みつけ、絶望の中にもその生き様を力強く肯定していこうとする内なる声を、アグレッシブな振りを交えて、ポエトリーリーディングとメロディアスな歌唱で表現するメッセージ性の高い曲だ。ともすればアイドルという存在が象徴するものからはかけ離れた憤りを、声を震わせて訴えかける四条。そこへ、望月が「もう一度 愛を信じてみるのはどうかな?」と投げかけた『世界の矛盾』。拒絶からの寛容というまさに矛盾する2曲を持って〝人間〟を歌うナナニジの奥深さを噛みしめる局面だった。そして、本編ラストナンバー『ロックは死なない』。愛も憎しみもすべてを抱き、過去ナンバー1の運動量とも言われている曲で限界を越えていこうという彼女たちの生き様は、まさにロック! その核となった天城からゆらりと立ち昇るオーラにも圧倒された。
さらに驚かされたことに、ナナニジコールに応えてアンコールで登場したメンバーたちはカラフルなワンピースやパンツルックに着替え、すっかり夏の装いだったのだ。そしてサプライズで初披露されたのは、どこか懐かしい心地のメロディで恋する気持ちをキュートに歌った『あなたでなくちゃ』。なんと、7月16日リリースの15th singleだった。さらに芝居を織り込んだライブ「22/7 Summer Live 2025 〜Toyboxの秘密〜」の開催も発表され、会場は大きく沸き立つ。


「今年は初めての仙台にも行かせてもらって、みんなで旅みたいなものができてうれしかった。またライブがあるので、この夏もいっしょに過ごしてくれるとうれしいです」と、微笑む西條。椎名が「あと1曲やりたい」と言うと、終わりを惜しむ客席から「えーっ!」という声があがったのだが「ヤダって言っても来るんだよーっ」という返しが小気味よく、会場はいっそう明るいムードに包まれた。これまでライブのエンディングを飾ってきた通学路ソングの新顔ともいえる甘酸っぱい『恋は道草』。西條と椎名がもじもじと伏し目がちに言う「好きでした」のセリフに、ときめきが止まらない。「絶対、明日も会いたい」という願いが、夏の約束とともに届けられた。


「2年ぶりのツアーということで、やっぱりツアーって当たり前にできるものじゃないと思いましたし、15枚目シングルまで出させていただけるのも、去年からアニメのタイアップを2作連続でやらせていたいているのも、みなさんのおかげです。ナナニジは本当にみなさんに助けられています。これからもナナニジのことを、いっぱいいっぱい愛してくださるとうれしいです!」という、天城の感謝の言葉とともに、パーティーの幕はおろされた。
※文責:キツカワトモ
※写真提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
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■『22/7 Spring Tour 2025 「Casino Party!!」』概要
今回のテーマはカジノパーティー!
パーティークイーンの座をかけて、メンバーがミニゲームで対決!
予選では、【究極の二択ゲーム】で、ディーラーの繰り出す難問に挑みます。
果たして、運と駆け引きの真剣勝負の行方は…?
どんなパーティーになるのかお楽しみに!
【東京公演】
▼会場
Zepp DiverCity(TOKYO)
▼公演日時
2025年3月29日(土) 昼公演 開場13:15/開演14:00
2025年3月29日(土) 夜公演 開場17:15/開演18:00
▼昼公演セットリスト
M00 Overture(Casino Party ver.)
M01 タチツテトパワー
M02 世界中で歌おうぜ
M03 佐藤さん
M04 YESとNOの間に
M05 Just here and now
M06 僕らの環境
M07 あやふやな世界観
M08 韋駄天娘
M09 Why are you crying?
M10 地獄一丁目
M11 足を洗え!
M12 地下鉄抵抗主義
M13 世界の矛盾
M14 未来があるから
EN1 ロックは死なない
EN2 恋は道草
▼夜公演セットリスト
M00 Overture(Casino Party ver.)
M01 タチツテトパワー
M02 世界中で歌おうぜ
M03 佐藤さん
M04 YESとNOの間に
M05 Just here and now
M06 僕らの環境
M07 あやふやな世界観
M08 韋駄天娘
M09 Why are you crying?
M10 無関心ヒーロー
M11 とんぼの気持ち
M12 嫌われるということ
M13 世界の矛盾
M14 ロックは死なない
EN1 あなたでなくちゃ(初披露新曲)
EN2 恋は道草